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住んでいる場所で人の運命や人生は決まる

世界はフラット化できない。

英語が使えても使わない

 インターネットで世界のニュースを英語で読むことができるようになったが、はたして直接読んでいる人は日本にどれだけいるのだろう。私自身、英語のニュースを翻訳してブログで紹介していたので、一時期は熱心にチェックしていたが、今は少し距離を置いている。もしチェックを続けていれば、海外のゴシップも楽しめると思うが、少し離れるとまったく興味が薄れる。なのに、日本のゴシップにはすぐ心が動かされる。

 なぜだろう。私は英語を読むことができるが、わざわざ好んでニュースサイトを読みたいとは思わない。日本語に翻訳されているほうがもちろん心地良い。日々更新されるニュースには、人々の関心が詰まっている。それが積み重なり、国の、国民の共通認識となっていく。それが共有されないと、「同じ国民」という意識も薄れていく。

 若い頃に2年間ほど沖縄の離島で暮らしていて、そのときにその感覚を味わった。まだその島にインターネットはなく、私は携帯も持っていなかった。テレビはNHKと民放2局のみ。いつも観ていた番組のほとんどがない。その代わり、島の事情には詳しくなり、そのローカリズムを存分に楽しんだ。ゴシップだってある。そしてその後、沖縄本島の那覇に引っ越したときに、一気に大きなものと繋がった気がした。さらに本土に戻ってきたときはもっと大きなものと繋がった。 

 日本人は日本に住む限り、世界との距離は、その当時の離島と本島、本島と本土と同じような距離があるのだ。日本の朝の報道番組で世界のニュースはほとんど流れないし、誰も英語サイトをチェックしない。英語を勉強して話せるようになった人も、読めるようになった人も、仕事で必要がない限り、それほどチェックはしない。日本人は日本のニュースが好きで、ゴシップが好きなのだ。 

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沼畑 直樹

ぬまはた なおき

ミニマリスト。テーブルマガジンズ代表。元バックパッカー。

2013年、「ミニマリズム」「ミニマリスト」についての記事を発表し、佐々木典士氏とともにブログサイト≪ミニマル&イズム(minimalism.jp)≫をたち上げる。 著書は、小説『ハテナシ』、写真集『ジヴェリ』『パールロード』(Rem York Maash Haas名義)など。


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